Lecce
歴史と雑踏、ヘップバーンとジプシー、フェラーリと石畳のローマをあとにして、
6時間の列車の旅の末、ついに目的地のレチェに着きました。
ローマとはがらりと違う、見事な石のバロック建築。
アドリア海に面した温かい気候に、ひんやりとした石の感覚が心地良い街です。
長い間の人の歩行で磨き上げられた石畳。
迷路のような住宅地は、昼間はけだるいような静けさに満ち、
日没からは、明るい街灯の下に、涼を求めて繰り出す人々で賑わいます。
私たちの家のある路地は、昔は娼婦街だったそうで、
小さなドアがいくつも続きます。
なにしろ500年もたっていますから、
改装を始めた時には、壁の中からさらに昔の壁が出て来たりして、
それをわざと掘り返し、面白い壁面を見せています。
ベッドルームに続くドアは、私がすれすれ通れるほどの小さなドア。
バスルームは既に改装されていて、天井からの自然の明かり取りが効果的です。
母屋の方のキッチン。
分厚い石の壁を切り分けて設えられた窓から、必要なだけの明かりと
教会の鐘の音が、注ぎ込みます。
つづく
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