ピーター・ラビット Peter Rabbit
娘の誕生日の翌日、こんなことがありました。
娘を学校に迎えに行った帰り、家族で近くのアンティークショップをのぞきました。
白い髪を束ねた背の高いおじいさんが店番をして居り、
私達があれこれ見ている間、日本へ行ったことがあるとか言いながら、
片言の日本語を話してみせたりしていました。
そのうち、娘は大きな絵本を探して来て、床に座り込んで読んでいました。
それを見たおじいさんは、それは素晴らしい本だ、ピーター・ラビットを書いた人の
本当の日記をそのまま絵本にした本だと売り込みにかかります。
でも、まんざら売り込みばかりでもないらしく、
ベアトリクス・ポッターのことや、最近作られた彼女の生涯を描いた映画について
詳しく熱心に話してくれました。
絵本は、折り込みがあったり、添付された封筒に手紙が入っていたり、
よくできた楽しい本で、娘はすっかり欲しくなってしまって、
買って、買って、とせがみます。
おじいさんに値段をきくと、59ドルだと言います。
裏を見ると値段が印刷されて居り、アメリカでなら新品でも30ドル足らずで買えるのです。
アメリカに帰ったら買ってあげるからと言い聞かせましたが、
勿論ききません。
なんとか、言いくるめて店を出ようとすると、
おじいさんが追いかけて来て、紙袋に入れた絵本を差し出し、
「欲しがっているから、この子にあげたい。 本は読みたい人のものだ。」
と言うのです。
私は、あわてて、「ではお金を払わせて下さい」と言いましたが、
今度はおじいさんの方がきいてくれません。
と云う訳で、娘は思いがけないバースデープレゼントを貰うことになったのです。
こちらは、かつて私が娘に読みきかせた単行本
ベアトリクス・ポッターは、私も大好きな作家です。
娘に読みきかせるようになって初めて知った素晴らしさでしたが、
人間のキャラクターを巧妙に動物に重ね合わせた描写は、実に見事で、
英文学の持つ独特のユーモアと人間観(動物観?)が存分に楽しめる本です。
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娘は、翌日、おじいさんにお礼の手紙を書き、菜園の野菜をバッグにつめ、
登校前にショップのドアの前に置いて行きました。
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