私の好きな読み物
一月に日本に行った時は、時間があまり無かったので、
ゆっくり本屋で本を選んでいる暇もありませんでした。
通りがかった本屋の突出しに山積みになっていたベストセラーの中から、
「私の渡世日記」と云う高峰秀子さんの本を、咄嗟に選んで持ち帰りました。
分厚くて2冊あるから、しばらくは楽しめそう、という理由も確かにありましたが、
私は元来、伝記物が大好きなんです。
エラい人のことを書いた伝記でも、本人が書いた自叙伝でも、
なんでもいいんです。
かなりどうでもいいような人の本も、ずいぶん読みました。
その人なりの人生を生きて、その人だけのアングルを持っていれば充分です。
だれかの一生を、最初から終わりまで、かいつまんで覗くことが出来るのが
たまらなく楽しくて、アラビアンナイトにでも招ばれた気分に成れます。
高峰秀子さんは、昨年お亡くなりになったそうですが、
私の世代の女優さんではなく、映画も1~2本見たことがあるだろうか?
という程度の認識しかありませんでした。
上品でおきれいな方と云うくらいのイメージでしたが、
俳優たちが「河原乞食」と云われた時代から子役で走り回っていたとは夢知らず、
ましてや、5歳から家族を養って働き詰めに働き、学校もロクに行けなかったとは、
はじめから予想外の展開でした。
日本の映画界の興隆から転落までを、現場の女優の目から見た点も、
非常に面白かったですね。
日本映画を少しでもご存知なら、かなり楽しめる本です。
地に足のついた、自分なりの価値観を持った、働く女性の意見本でもあります。
それから、私は料理本読みでもあります。
アメリカで、レストラン業の市場調査みたいなものを長く書いていたので、
一時は必要に迫られて読んでいました。
新しく出た、これというクックブックは、片っ端から買って読みました。
食べ物に関する雑誌もすべて取り寄せ、ニューヨークタイムス紙をはじめ、
あちこちの新聞の料理欄、レストラン批評欄、そんなものは全部読んでいました。
思い起こせば、子供の頃からそこら中を食べ歩き(半分は仕方なく)、
大人に成っても食べ歩きを職業としたようなもので、
一時は自分でレストランをやっていたことさえあります。
アレばかりは二度としたくありませんが・・・
この「食文化的に痴ホウ集団」であるニュージーランドに移り住んで以来、
そんなものとはすっかり疎遠になり、ほぼ毎日うちご飯。
「食」に関する雑誌は1冊もとっていないし、新聞さえ読まない。
料理本もさっぱり買わなくなりました。
それでも、こちらに来て入手した少数のクックブックの中で、
上の緑の本にはずいぶんお世話になっています。
ニュージーランドの本ではもちろんなくて、パリにある「ローズ・ベーカリー」と云う
小さなカフェ/パン屋が英語で出したクックブックです。
シンプルで実用的なレシピが満載されていて、
店を朝9時に開けて、夜7時に閉めるまでの順でレシピが追われているのも
面白いくくり方だと思います。
料理本読みの方には、おススメです。
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