もの
ニュージーランドに来た当初、こちらでは「シンプルライフ」を実践するのだと、
固く心に決めていたのですが、
気が付いてみると、いつの間にか周りにはモノ、モノ、モノ。
あれも要る、これも買わなくちゃと揃えているうちに、
やっぱり元の、モノに囲まれた生活に戻っていました。
先日、古物市で買ったデザートワイングラス。 とても気に入っています。
あるモダン建築の好きな友人が、ミニマリストの粋を行くご自宅の写真をメイルしてくれましたが、
彼女は、「装飾は罪である」と云うどなたかの格言が大好きだそうで、
そういったミニマルな空間に住まいを求めたそうです。
こちらも同じ古物市で買ったピローケース2枚。 手仕事で作られた古いリネンで、清楚なデザインgが気に入りました。
私は、シンプル生活に憧れながらも、
コレクター癖があって、すぐにモノを見つけてしまうし、買ってしまう。
昔,モノにまつわる仕事をたくさんしたせいか、
自分で言うのもなんですが、探す、見つける、買う、に関しては、
なかなか人にヒケを取らないんですよね、悲しいことに。
こちらは、娘が母の日にくれた「指輪入れ」。 子は親を見て育つ、ですね。 アンティークショップ(がらくた屋?)で見つけたそうです。
昔,カリフォルニアで学生をしていた頃、
友人に、ヒッピーの住む山に連れて行ってもらった事があります。
スイス人と日本人が数人、もう2年以上も暮らしている山で、
面白い奴らだから紹介する、ということでした。
苦労して歩いて山を登ったのですが、頂上近くに来てトイレに行きたくなり、
ちょうどそのヒッピーの一人が薮から出て来たので、トイレはと訊くと、
髪もヒゲも長い、白いローブを着た、ジーザスそっくりのそのスイス人は、
りんごと杖を持った両腕を広げて、実におごそかに、 "Anywhere" と言ったのです。
ど、どこでも?と思いましたが、考えてみると訊いた私の方がどうかしていた訳です。
その時、私にはこの手のミニマル生活も無理だなと、つくづく思いました。
(あとで判明した事ですが、あのときの数人のヒッピーは、全員どこかの富豪の御曹司や、有名大学院中退の連中や、銀座の料亭のお嬢様たちだったとのこと。 その後、山を下りて、皆さんそれなりのところへ治まったようです。)
アメリカで照明アートをやっている友人が造った時計。 私のお気に入りなので、夫がアメリカから持って来てくれました。 ネズミ捕り機の中に入っていて、1分ごとに数字のパネルがパシャリと音を立てて変ります。 外側のメカニズムは常にくるくると回っています。
どうせ死ぬときは、素っ裸で行かなくてはならないのに、
人間とはどうしてこう「モノ」にこだわるのでしょうね。
ミニマリストにしても、その凝縮された線や点にこだわっているわけで、
モノをどの分量で押さえるか、という管理能力の問題ですよね、要は。
どうすれば養えるのでしょうね、その管理能力?
永遠にシンプルライフに憧れながら、到達できない私です。
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